たいらじょう本人による書き下ろし原稿を掲載。
これまで出会った人、これから出会う人、全ての人に伝えたいメッセージ…
様々なテーマで、今後も随時更新いたします。

劇場に夢と希望を託して

劇場…
そこは、あなたを夢の世界へと誘う極上の空間。
幕が開いたその瞬間から、たったひとつのこの舞台の上は、
あなたの知らない数々の世界を見せてくれます。

舞台の上は、様々な魔法の力によって、
遠い異国も、山や海も、空も宇宙も、魔法の国も、
そして野原の草花や池の中へだって…
小さな世界も大きな世界も自由に行き来させてくれるのです。

今日あなたが劇場で出会うのはどんな世界でしょうか?
辛いことも苦しいことも忘れ、舞台に身を委ねてください。

しばしの間、あなたを心の旅へとお連れします。
あなたにとって、思い出深い旅行となるよう
出演者・スタッフ・人形一同、精一杯務めさせていただきます。

心の旅をしながら、心のごちそうもどうぞ召し上がれ…
人生を生きるには心にも栄養が必要です。

子ども達にはふれあう喜び、そして希望と夢を…。
大人達にはとびきりの感動を…。

劇場は心のレストラン!
腕によりをかけて演じます!
目に美味しい、心に美味しい栄養をたっぷり蓄えに、
さぁ、あなたも劇場へ…。

芝居は面白い

役者と舞台は幾多のドラマを生み出せます。

淡い恋の夢、壮絶な悲劇…
生きる苦しみ、生きる喜び…
命の輝き、命のはかなさ…

人々が集い、それらの世界を共有することで
感動は何倍にも膨れあがり、
心に掛け替えのない宝物が生まれるのです。

人生は複雑、人生はややこしい。
人生めんどうだらけ…でも素晴らしい。

この世界には知らないことがまだまだいっぱい。
この世は未知の世界…
それは、可能性も無限であるということ。

今を生きる人々に、勇気と希望を届けたい。
芝居という名の魔法の力を借りて!

人形劇の魅力と可能性

人形の表情はたったひとつ。
変わるはずのない顔、表情…
しかし、観る者の心が、人形の顔を動かします。
想像力という名の魔法によって。

悲しみも、喜びも、希望も…
無限の表情が、観客の力によって生まれるのです。

あなたが創り出す新たな世界。
イマジネーションをくすぐる人形劇は
この上なく楽しく刺激的な芸術なのです。

登場人物に制約はありません。
小鳥が話し、花が歌う…
動物も人も、同じ世界で夢を創ります。
見たことのない生き物にだって出会えます。
太陽も風も語り歌い踊り出します。
観客は、どんな異世界も無理なく楽しむことができるのです。
また、人形を遣う役者も、それらの人形の力によって
自らの身体では及ばない様々な役を生きることができるのです。

しかも、人形達はいっさい歳をとりません。
その役を生きるためだけに舞台で待っていてくれるのです。
もちろん、ときどき修繕という名の治療は必要ですが…。

そんな人形劇の上演は、場所も選びません。
枕元でも、大劇場でも上演できるのですから。
素朴なのに壮大…それが人形劇なのです。

これまで人間は、様々な文化や芸術を生み出してきました。
それは、私たちが心豊かに生きるために生まれた
素晴らしい知恵の数々です。

文学、音楽、美術、踊り、芝居…
どれもこれも心に良いものばかり。

なんと贅沢なことに、
人形劇には、それらの文化芸術の全てが詰っているのです。
それはまさに、総合芸術!

無限の可能性を秘めた人形劇を
私たちが楽しまない手はありません。

多くの国々に人形劇の文化はありますが、
そのほとんどが子ども達のためのものとされています。

子どもが人形劇を観ることはもちろん素晴らしいことです。
子ども達は、大人の想像を遥かに上回る集中力で
人形劇を全身で楽しみます。
そんな子ども達の表情は生き生きとしていて、
命の輝きを感じずにはいられません。
目の前で本物がうごめく姿に、子ども達は一喜一憂しながら、
これでもかと言わんばかりに劇世界への感情移入を楽しむのです。
子どもの目でしか感じることのできない人形の表情が
子ども達の無限の想像力によって創られてゆくのです。

さて大人はどうでしょう…。
子ども達の想像力には流石に負けてしまうのでしょうか…。
いいえ、それは違います。
辛いことや苦しいことも数多く経験してきた大人は、
それらの経験から、人形の様々な表情をより深く感じることができるのです。
昨日と今日では、人形の表情がまた違って見えるのです。

それは、紛れもなく、あなたが人生を逞しく生きてきた成果なのです。

見えないはずのものまで見せてくれる人形劇…
無限の可能性を秘めた総合芸術…
これを子どもだけのものにしておくなんてもったいない!
人生は、大人になってからの方が長いのですから…。

あなたの想像力を刺激する人形劇は、あなたの心を舞台に移しながら、
瞬時に別世界へといざない、出会ったことのない世界を体験させてくれるのです。
それは、あなたの心に光を照らし、多くの希望と勇気を引き出し、
新たな扉を開ける瞬間でもあるのです。

古くは呪術が発祥とされる人形劇。
棒切れから始まったと言われています。
儀式で使われるご神体の棒は、人々の苦悩の身代わりとなって、
多くの人々の心と身体を癒してきたそうです。
やがて、神羅万象への畏敬の念によって生まれたアニミズム思想から、
それらの棒切れに芝居をさせるようになったのです。

遠い昔から、人形劇は人々の心を解放させ、
痛みを連れ去り癒してくれていたのでしょう。

先人達の知恵によって生まれたこの芸術が、
今尚こうして触れられることは、本当に幸せなことです。

人形に命を吹き込む…
という言葉をよく耳にします。
私は、命を吹き込む…ではなく、命を引き出す…という意識で
日々操演をさせていただいております。
その役柄を生きるために生まれた人形の声や気持ちと極限まで向き合いながら、
その人形が舞台で輝けるよう、その人形や物語に恥じぬ鍛錬を積まなくては…
と、日々励んでおります。これは終わりのない旅…。

今日の操演が、昨日の演技よりもさらに深まるよう、
全ての舞台に魂を込め、心を込めて務めさせていただきます。

人形でなければ表現できない人間の世界、命の輝きを、
ひとりでも多くの方に提供し、皆様と生きる喜びを分かち合えたら
これほど嬉しいことはございません。

心躍る人形劇芸術を、あなたもぜひ体感してみてください。

たいらじょう