現代人形劇×クラシック音楽「曾根崎心中」/東京文化会館・舞台芸術創造事業

最新作「ピノッキオ」の興奮も冷めやらぬ中、早くも次回作の上演が年内に決定!

人形浄瑠璃・文楽でお馴染みの作品、

近松門左衛門原作「曾根崎心中」に挑みます!

伝統的な古典文学としての魅力を最大限に尊重しつつ、現代ならではのアグレッシブな演出で構成します。

東京文化会館と平常がタッグを組む作品としては実に6作品目…

2014年「王女メディアの物語」、

2016年「Hamlet ハムレット」、

2019年「SALOME/サロメ」、

2020年「400歳のカストラート」、

2023年2月「ピノッキオ」、

そして2023年12月!

遂に、日本文学の最高峰“近松門左衛門”の作品を手掛けます。

“東洋のシェイクスピア”と称される美しい文学性は世界的にも高い評価を得ています。

また、今年は近松門左衛門300回忌という節目の年でもあります。

本企画に際し、平常本人による演出コンセプトが寄せられています。

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「曾根崎心中」創作に向けて

人はなぜ恋をするのか…

いつの世も、劇的な恋愛ドラマが生まれ、語り継がれています。

「曾根崎心中」は数ある恋愛ドラマの中でも極めて悲劇的で情緒的。竹本座での初演から300年にわたり語り継がれ、今も尚愛され続けているのは、この物語に漂う魅惑的な香りと、普遍的な人間ドラマの構築による成果なのでしょう。

この度、この美しい作品の新たな創作に取り組む光栄に預かりました。

人形劇に取り組む人間として、また、芸術に携わる者にとって、近松門左衛門という存在はもはや神の領域…。触れたいような、いやいや、まだまだ…と、長年にわたり憧れ続けてきました。

東京文化会館との共同制作として、過去に5作品の創作をさせていただき、その全ての舞台に於いて計り知れないほどの成果や手ごたえを感じてきました。劇場とアーティストの深い絆により、創作が充実する…。舞台創造の理想形とも言える豊かな時間の連鎖。これだけの充実した環境、今こそ遂に…近松門左衛門の劇世界に挑戦しても良いのでは…と、この度の決断に至りました。

日本人として、世界に誇る日本の文学作品に取り組めることは大いなる喜びです。台詞については、原作・原文の世界観を最大限に尊重しつつ、現代の観客がより共感できる工夫を施しながら、新たな台本を構築します。舞台演出を極限まで削ぎ落すことで、日本の伝統芸能を思わせる麗しさを表現しつつ、現代ならではのアグレッシブなアプローチを織り交ぜ、幅広い世代に共感していただける作品にしたいと思っております。

この物語の哀愁を表現する上で、田原綾子さんのヴィオラと大田智美さんのアコーディオンの演奏は無くてはならないものとなります。心象風景のダンスとも言える…コトバを越えた表現を随所に散りばめます。また、過去の創作でも素晴らしい選曲をしてくださった宮田大さんと共に、各場面に即した楽曲を既存のクラシック音楽の中から選曲し、楽曲と物語の新たな魅力をも掘り起こしつつ、没入感溢れる演出を目指す次第です。

実際に起きた心中事件をもとに描かれた本作。お初と徳兵衛の思いが舞台で成就し、この舞台創造によって…二人の死が報われ…果ては救いとなることを信じています。近松門左衛門が本作の文末にしたためた言葉…「恋の手本となりにけり」。その真意をお客様と丁寧に共有できるよう、この歴史とじっくり向き合いながら、力の限りを尽くし、創作を進めて参ります。

日本の伝統は削ぎ落された究極の芸術…と、私は認識しています。お能、狂言、茶道、華道、書道、水墨画、日本庭園…など、そのどれもが麗しく、触れた者の心を映す清らかさがあります。シンプルであるが故、想像力を極限まで引き出すからなのでしょう。この度の舞台が目指す世界観はまさにその「和」の尊さです。この舞台作品が、日本の美しさを世界に紹介し、世界の文化を繋ぐ架け橋となることを願っています。

平 常

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東京文化会館が、クラシック音楽と多ジャンルのコラボレーションによる優れた舞台作品の創造を目指し、シリーズとして企画している「舞台芸術創造事業」。この度、また新たな美しい作品の誕生です。

ヴィオラに田原綾子、アコーディオンに大田智美を迎え、哀愁漂う魅惑的な旋律を劇場に響かせます。

また、「ハムレット」、「サロメ」、「ピノッキオ」での圧巻の演奏も去ることながら、見事な楽曲チョイスで聴衆を驚かせた宮田大が、今回は「選曲」として参加。既存のクラシック音楽と日本の古典文学を融合させることで、新たに想像力が刺激されます。

そして今回、平常の舞台作品としては珍しく、自身以外の舞台美術家を創作に迎えます。

国内外のあらゆる舞台で圧倒的な才能を発揮している松生紘子が、本作に舞台美術家として参加します。

そのほか最高峰のクリエイティブスタッフが集結し創作される新たな近松の世界。

儚くも熱い恋の物語…

初演から320年の時を経て描かれる革新的な舞台芸術。

令和に轟く江戸の魂…

忘れられない極上の劇場体験をお約束いたします。

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原作:近松門左衛門

脚本・演出・人形操演:平常

ヴィオラ(生演奏):田原綾子

アコーディアオン(生演奏):大田智美

黒衣:牛頭奈緒美、新井彩冬実

選曲:宮田大

音楽監督:矢野雄太

編曲:山本清香

舞台美術:松生紘子

人形美術・衣裳:平常

照明:大島祐夫(アート・ステージライティング・グループ)

舞台監督:浅沼宣夫(ザ・スタッフ)

演出助手:伊奈山明子

制作:東京文化会館

主催:(公財)東京都歴史文化財団 東京文化会館